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2019年09月20日
下腿コンパートメント症候群が疑われる時は早めに病院の受診を
下腿部を輪切りにすると4つの仕切りにより4つの区画に分かれていて、その仕切られた各区画には筋肉・神経・血管・リンパ管などの組織が内包されています。
もし何らかの原因で1つの区画内の筋肉に炎症が起こって、その筋肉が腫れて膨張してしまうと、その区画内の内圧は高くなってしまうのです。
ちなみに、下腿部の毛細血管の血管内圧は20~30mmHg程度といわれていて、その圧力を超える区画内圧の上昇が発生すると、その区画内では毛細血管が閉塞されて各組織は阻血状態になってしまいます。
そして阻血状態となった各組織は機能不全を引き起こして悪化すると壊死に至り、この様な過程で起こる障害のことをコンパートメント症候群と言うのです。
発症経過と症状により下腿コンパートメント症候群は、急性型と労作性とも云う慢性型に分けられます。
急性型には、骨折や挫傷などの外傷で多量の出血や腫脹で急速に区画内圧が上昇するものと、慢性型の症状が悪化することにより急性の症状に変わるものがあるのです。
急性型では急激に激しい疼痛や筋肉の硬直、神経麻痺などといった症状が発生します。
一方の慢性型にも2種類あって、ひとつはスポーツ活動で多くみられる過剰な運動により筋肉や筋膜が炎症して、その結果筋肉の浮腫が起こることで区画内圧が上昇するものです。
もうひとつは繰り返される運動の結果で、筋肉が肥大して区画内圧が上昇するものがあります。
慢性型では、最初に障害を受けた区画に関連した運動による疼痛や筋肉のこわばり感などが現れて、症状が悪化すると日常動作においても痛みを感じるようになるのです。
また悪化することによって筋肉の萎縮や運動障害、夜間痛、しびれなどといった症状も出現します。
発生する原因ですが、先にも触れましたがスポーツや交通事故などの外傷により生じた筋肉の炎症や出血で組織が腫張することにより、コンパートメント内の内圧が上昇することです。
各コンパートメントには筋肉・血管・リンパ管・神経などの組織が含まれているので、組織内の内圧が上昇し続けると毛細血管がつまって細動脈の血行障害を引き起こします。
もうひとつの原因は、慢性型で見られる過剰な運動により筋肉が炎症を引き起こしたり、繰り返しの運動で筋肉が肥大したりすることが原因です。
下腿コンパートメント症候群の診察や治療は整形外科が専門になるので、発生が疑われる場合には早い段階で整形外科の診察を受ける必要があります。
慢性型の初期や症状の軽い場合の治療は、まずは運動を中止して安静にすることで軽快するのです。
慢性型で運動する時のみ症状がみられる程度なら、このように安静加療と運動計画の見直しなどの予防対策をすることで予後は良好になります。
やや症状の進行した場合や長期化した場合には、安静に加えてマッサージやストレッチなどを治療として行います。
ただ急性型や慢性型でも疼痛や筋肉の萎縮、または神経障害の著しいものについては緊急的に手術を実施する必要があるのです。
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