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2018年08月17日
仙腸関節障害は多くの方の腰痛の原因となる
骨盤の骨となる仙骨と腸骨の間にある関節が仙腸関節で、周囲の靭帯により強固に連結されているのです。
この仙腸関節は脊椎の根元に位置していて、日常生活の動きに対応できるように、3~5㎜程度の画像検査では判らないわずかな動きを有しています。
それにより、ビルの免震構造のように脊椎のバランスを根元からとっていると考えているのです。
しかし、中腰での作業や不用意な動作、または繰り返しの負荷などによって関節に微小な不適合が生じて痛みが発生します。
これを仙腸関節障害と言って、一般的には出産後の腰痛の原因とになることが多いといわれますが、老若男女に関係なく腰痛の原因となり決して稀な症状ではないのです。
主な症状としては、片側の腰臀部痛と下肢痛で、仙腸関節障害による腰痛の部位は一般的に仙腸関節を中心とした痛みですが、臀部・鼠径部・下肢などにも痛みを生じます。
ぎっくり腰のような急性腰痛の一部に関しては、仙腸関節の捻挫が原因と考えられていますし、仙腸関節の捻じれが解消されなくて続くと慢性腰痛の原因にもなるのです。
こうした痛み以外にも長い時間椅子に座れない、仰向けに寝られない、痛いほうを下にして寝られないなどと言った症状が特徴的です。
また、歩行開始時に痛みがあるけれども徐々に楽になる、正坐は大丈夫といった特徴も症状にはあります。
ただし腰臀部や下肢の症状は、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなど腰椎の病気による神経症状と類似しているので注意が必要です。
また一般的に下肢の痛みは坐骨神経痛と言われますが、仙腸関節の動きが悪くなって周囲の靭帯が刺激されることでも下肢の痛みを生じてしまいます。
それから腰椎と仙腸関節は近くにあって関連しているので、腰椎の病気に合併することもあり得ますし、腰椎の病気に対する手術後に残った症状の原因なる可能性も考えられるのです。
仙腸関節障害の治療としては、安静・鎮痛剤・骨盤ゴムベルトなどの保存的治療がまず実施されます。
骨盤ゴムベルトは、仙腸関節の微小な不適合の発生を抑える効果があって、仕事復帰時などの再発予防にも活用することができるのです。
治療として骨盤ゴムベルトを用いる場合には、前締め・後締めを試して疼痛が軽減される方を選択することになるのですが、経過によって変わっていくこともあることを理解しておく必要があります。
ただし安静・鎮痛剤・骨盤ゴムベルトなどの保存的治療で改善しない時には、仙腸関節に局所麻酔剤を注射する仙腸関節ブロックが行われることがあります。
このブロック注射によって痛みが軽減されることにより、仙腸関節の適合が良くなって回復に向かうと考えているのです。
また徒手的に仙腸関節の適合を正していくAKA(関節運動学的アプローチ)博田法という方法も有効と考えられています。
ただ、非常に稀なケースですがこれらの治療を行っても強い症状により日常生活に支障をきたすこともあって、そのような場合には仙腸関節の微小な動きを止める仙腸関節固定術といった手術が行われるのです。
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